制度のこと
就労継続支援B型はどんな人が通う?全国50万人の統計【寝屋川市】
就労継続支援B型を調べていると、制度の説明はいくらでも出てきます。
でも本当に知りたいのは、そこではないと思います。「自分みたいな人が、実際に通っているんだろうか」。ここが分からないと、見学の電話もかけにくい。
そこで、国と大阪府が公表している統計を、こちらで読んで並べてみます。寝屋川市で就労継続支援B型事業所を運営している私たち(アズプレイス)が書きました。
書きながら気づいたことがあります。この制度でいちばん誤解されている数字は、公表資料にそのままの形では載っていません。二つの数字を割って初めて出てきます。あとで出しますが、それが月8.9日という数字です。
先に結論
- 全国の利用者は502,992人。障害福祉サービスの中でいちばん多い制度です
- 1人あたりの通所は月8.9日。毎日通っている人のほうが少数派です(うちは月19日ほどで、これはかなり多いほうです)
- 大阪府では、精神障害のある方が半数を占めます
- 特別支援学校を卒業してすぐ来る人は8%。大半は大人になってから来ます
- そこから一般就労する人は年に1.8%。多くありません。ただし人数は4年で2.5倍に増えています
全国に50万人います
厚生労働省の令和6年社会福祉施設等調査によると、就労継続支援B型の利用者は令和6年9月の1か月で502,992人でした。事業所は同年10月1日時点で17,973か所あります。
この数字は、障害福祉サービスの中で最も多いものです。生活介護でも、グループホームでもなく、B型がいちばん多い。
事業所も1年で1,260か所増えました。7.5%の伸びです。
選ぶ側から見ると、これは手放しに喜べる数字ではありません。増えたぶんだけ、中身の差も開いています。寝屋川市内だけで30か所以上あって、作業も雰囲気もまるで違う。
だから「B型に通う」と決めることと、「どこに通うか」を決めることは、別の作業になります。後者のほうが時間がかかります。何を見て比べればいいかは、見学と体験の流れに5項目まとめました。
大阪府では、7割がB型です
大阪府に絞ると、令和6年4月1日時点でB型の利用者は30,445人、事業所は1,757か所。令和2年4月の17,959人から、4年で1.7倍になっています。
働くことに関する福祉サービス(就労移行支援・A型・B型)を使っている大阪府内の43,545人を分けると、こうなります。
| サービス | 大阪府の利用者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 30,445人 | 70% |
| 就労継続支援A型 | 9,165人 | 21% |
| 就労移行支援 | 3,935人 | 9% |
大阪でこの制度を使うのは、まったく珍しいことではありません。
毎日通っている人のほうが、少数派です
同じ調査に、延べ利用者数が4,469,073人という数字があります。502,992人で割ると、1人あたりの通所は月8.9日。週に2日ちょっとです。
この数字は、どの資料にもこの形では載っていません。二つの数字を割って初めて出てきます。
「働くところに通う」と聞くと、朝から夕方まで週5日を想像すると思います。平均はその半分にも届きません。しかも前の年は9.8日で、日数はむしろ短いほうへ動いています。
体調に波があって、毎日は難しい。そういう方が制度の中心にいる、ということです。週1日から始めるのは、特別扱いをお願いする話ではありません。制度の真ん中にある使い方です。
うちの数字も出しておきます
同じ計算を、うちの実績でやってみました。
| 年度 | 1人あたりの月間通所日数 |
|---|---|
| 令和5年度 | 19.2日 |
| 令和6年度 | 19.4日 |
| 令和7年度 | 19.0日 |
全国平均の2倍以上です。開所しているのが月22日ほどなので、通っておられる方は開所日の8割以上に来ている計算になります。
この数字の出し方は全国と同じで、延べの利用人数を、その月に1回でも来られた方の人数で割ったものです。定員20名の小さな事業所なので、数人の増減で動きやすい数字ではありますが、3年とも19日台で安定しています。
誤解のないように書いておくと、たくさん通うことを求めているわけではありません。うちも週1日・1日2時間から受けています。ただ、始めた方は結果としてよく通われている、というのが実績です。パソコンの作業は座ってできて、体調に合わせて手を止められるので、そのぶん続けやすいのかもしれません。
大阪では、半数が精神障害のある方です
大阪府の調査から、B型利用者の内訳です(令和6年4月1日時点)。
| 障害 | 割合 |
|---|---|
| 精神障害 | 50% |
| 知的障害 | 33% |
| 身体障害 | 10% |
| 発達障害 | 4% |
| 高次脳機能障害 | 2% |
| 難病 | 1% |
うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害。診断名はさまざまですが、この中に自分の診断名を見つけた方は、めずらしい側ではありません。
かつて作業所というと、知的障害のある方が通う場所という印象が強かったと思います。いまはそこに、精神障害や発達障害のある方が加わっています。どちらか一方の場所ではありません。
なお、この割合は「手帳を持っている人」の割合ではありません。手帳がなくても、医師の診断書で受給者証が交付されれば利用できます。詳しくは受給者証の取り方に書きました。
大半は、大人になってから来ます
大阪府のB型利用者30,445人のうち、特別支援学校を卒業してそのまま利用を始めた人は2,433人(8.0%)でした。
つまり9割以上は、学校を出たあと、別の道を通ってから来ています。
一般企業で働いていて体調を崩した人。休職と復職を繰り返した人。何年か家にいた人。40代、50代で初めて福祉サービスにつながる人も珍しくありません。
「この歳から始めるのは遅いのでは」と思う必要はない、というのが数字から言えることです。
ここからは、数字ではない話
統計を並べてきましたが、実際に通い始めた方に起きることは、数字には出てきません。ひとつだけ書いておきます。
通い始めてしばらくすると、職員や他の利用者さんと、少しずつ話すようになります。そのうち、自分の話をたっぷりしてくれるようになる。何年か家にいた方ほど、その変化が大きいように思います。
うちで働いていて気づいたのは、自分の話を聞いてほしいと思っている方が、とても多いということです。
作業の内容や工賃を先に気にされる方が多いのですが、実際に通い始めてから効いてくるのは、たぶんこちらです。週に何日か、行く場所があって、話す相手がいる。それ自体に意味がある、というのが正直な実感です。
どんな作業をしているのか
ここは統計より、実際の事業所を見たほうが早いと思います。
事業所によってまるで違います。同じ「B型」でも、中身はばらばらです。農作業。パンやお菓子づくり。カフェ。内職の下請け。パソコンの仕事。ひとくくりにできません。
一例として、うちの場合はパソコンを使う仕事が中心です。動画編集、画像編集・デザイン、ホームページの制作と更新、データ入力、AIアノテーション、ネットショップの運営代行、それに梱包と発送。これは数ある形のひとつで、近所の事業所はまったく違う作業をしているはずです。
大事なのは、どれが自分に合うかは通ってみないと分からない、という点です。パソコンが得意だと思っていた人が梱包のほうが落ち着くと言うこともあれば、その逆もあります。だから見学と体験があります。
うちの場合、AIアノテーションなら10分触れば向き不向きはだいたい分かります。合わないと思ったら、その場で言っていただいて構いません。
電話:072-838-6555(平日 9:00〜17:00)
そこから就職する人は、どれくらいいるのか
先に、前提をひとつ書きます。
B型は、就職するための訓練機関ではありません。就職を目指す人のための制度は、別に「就労移行支援」として用意されています。そちらは原則2年間で、一般就労を前提に訓練します。
B型は「雇用契約を結んで働くことが難しい方が、自分のペースで働き続ける場所」です。だから期限もありません。通い続けること自体が、想定された使い方です。
そのうえで、数字を正直に書きます。多くはありません。
大阪府で、令和5年度中にB型から一般就労した人は548人でした。令和6年4月1日時点の利用者30,445人と比べると1.8%にあたります(大阪府の公表値ではなく、こちらで割り算したものです)。
ただし、この分母には全員が入っています。いま就職を目指している方も、目指していない方も、まだその段階ではない方も、区別せずに割った数字です。ですから1.8%は「就職を目指した人のうち何人が叶ったか」ではありません。B型に通っている人全体を分母にした割合です。
そのうえで、推移を見ると別のことも言えます。
| 年度 | B型から一般就労した人 |
|---|---|
| 令和元年度 | 214人 |
| 令和2年度 | 221人 |
| 令和3年度 | 271人 |
| 令和4年度 | 375人 |
| 令和5年度 | 548人 |
4年で2.5倍になっています。しかも大阪府が立てていた令和5年度の目標は286人だったので、その倍近くに達しています。
そのうえで、就職する人も毎年いる。そういう順序で読んでいただきたいと思います。
「まず通うこと」が目標の時期があって構いません。就職の話は、その先で構いません。
就職した人は、どんな仕事に就いているのか
ここは全国の統計から見ていきます。厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査です。
ただしこの調査の対象は、企業で働いている障害のある方の全体です。B型を経由した方に限った数字ではありません。もともと企業で長く働いている方も含まれるので、あとに出す金額や勤続年数は、そのぶん高めに出ます。「企業で働く」とはどういうことかの全体像として見てください。
障害別に、いちばん多い職業はこうなっています。
| 障害 | いちばん多い職業 |
|---|---|
| 精神障害 | 事務的職業(29.2%) |
| 知的障害 | サービスの職業(23.2%) |
| 身体障害 | 事務的職業(26.3%) |
| 発達障害 | サービスの職業(27.1%) |
事務とサービス業が中心です。具体的には、書類の作成やデータ入力、清掃、店舗のバックヤード、飲食の調理補助といったところです。
賃金と勤続年数も出ています(令和5年5月時点)。
| 障害 | 平均賃金(月) | 平均勤続年数 |
|---|---|---|
| 精神障害 | 14万9千円 | 5年3か月 |
| 知的障害 | 13万7千円 | 9年1か月 |
| 身体障害 | 23万5千円 | 12年2か月 |
| 発達障害 | 13万円 | 5年1か月 |
この表を載せるかどうかは迷いました。B型から就職したら必ずこの額になる、という数字ではないからです。
それでも載せたのは、賃金より勤続年数のほうを見てほしいからです。知的障害のある方の9年1か月、身体障害のある方の12年2か月。就職の話になると入口の話ばかりになりますが、実際に起きているのは「入って、長く続いている」ことのほうです。
働く時間も幅があります。週30時間以上で働いている割合は、身体障害のある方75.1%、知的障害のある方64.2%、発達障害のある方60.7%、精神障害のある方56.2%。精神障害のある方では4割以上が週30時間未満で、短時間勤務は珍しくありません。
就職したあと、続いているのか
大阪府の調査によると、令和4年度に福祉サービスから一般就労した方のうち、6か月以上勤め続けていることが確認できた人は87.8%でした(令和6年4月1日時点。残る12.2%は追跡できていません)。
10人のうち9人近くは、半年の時点でまだ働いているということです。
参考までに、高校を卒業して就職した人は1年以内に15.1%が辞めています(令和2年3月卒業者)。数え方も期間も違うので、そのまま並べて優劣は言えません。それでも、福祉を経由した就職の定着が特別に悪いわけではない、ということは言えます。
むしろ逆だと思っています。支援を受けて入る就職は、時間も条件も先に調整してから入ります。求人票を見て応募して、入ってから合わないと分かる入り方とは、順番が違います。
逆に、うちが向かない場合
数字を並べてきたので、反対のことも書いておきます。
パソコンの前に座り続けるのがしんどい方に、うちは向きません。手を動かすほうが落ち着く方には、茨木市で開いている施設外就労の拠点(アクセサリーや布小物)のほうが合うことがあります。こちらは時給600円で、金額をはっきり出しています。自力で通所できる方が対象です。
常時マンツーマンでの対応が必要な状態や、医療的ケアが必要な方も、いまの職員配置では受けきれません。ただ「無理です」で終わらせるつもりはないので、判断がつかない段階で電話していただいて構いません。
送迎の範囲から外れる地域も同じです。市名では区切っていません。同じ市内でも家の場所で所要時間が変わるので、住所を言っていただければその場でお答えします。
アズプレイスの場合
うちは寝屋川市にある、定員20名の小さな事業所です。ここまで書いてきた全国や大阪府の平均と、大きく違うところはありません。
強いて言えば、パソコンを使う仕事が中心なので、そこに関心のある方が集まりやすいという特徴があります。AIを道具として使えるようになることを訓練の芯にしていて、その中身はAIが学べるB型事業所とはに書きました。
工賃の話は工賃は月いくらかに、全国平均と大阪府平均の実額つきでまとめました。
よくある質問
何歳くらいの人が通っていますか
制度としては上限がありません。
うちに通っておられるのは20代から60代までです。特別支援学校を出てすぐの方は大阪府全体で8%ですから、大人になってから来られる方が大半という点は、うちも全国と変わりません。
65歳以上の方や、要介護認定を受けている方も利用できる場合があります。介護保険が優先されると思われがちですが、B型には介護保険に相当するサービスがないため対象外という整理です。ただし取扱いは自治体によって異なり、最終的な支給決定は市町村の判断になります。詳しくは高齢者施設のみなさまへに書きました。
手帳を持っていなくても利用できますか
障害福祉サービス受給者証が交付されれば利用できます。手帳と受給者証は別のものです。医師の診断書で申請できる場合があるので、受給者証の取り方をご覧ください。
週に何日くらい通うものですか
全国平均は月8.9日、週2日ちょっとです。
うちは月19日ほどで、全国よりかなり多くなっています。ただ、これは「そうしてください」という意味ではありません。週1日・1日2時間から受けていますし、慣れてから増やす方が多いです。
何年くらい通うものですか
期限はありません。B型は就労移行支援と違って、利用期間の定めがない制度です。数か月で次に進む方も、何年も通われる方もいます。
就職はできますか
大阪府では年に1.8%の方が一般就労しています。多い数字ではありませんが、人数は4年で2.5倍に増えています。
ただ、就職を第一の目標にするなら、就労移行支援という別の制度のほうが向いていることもあります。原則2年という期限がある代わりに、就職を前提に訓練する制度です。見学のときに、どちらが合いそうかも含めてお話しします。
通っている人はどんな障害のある方が多いですか
大阪府の統計では精神障害が50%、知的障害が33%です。うちにも、精神障害・発達障害・知的障害のある方が通っておられます。
在宅で利用できますか
原則として通っていただく形です。2026年7月から、B型は通所を原則とする整理が明確になりました。通所が前提で、体調の波により通えない日がある、という形であれば通常どおりご相談ください。
途中でやめられますか
やめられます。契約を解除するだけです。
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見学は受給者証がなくてもできます。持ち物も服装も決まりはありません。見学と体験の流れに、断り方まで書いています。
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